director's voice

豊田陽子さんから

今日は水曜日。
晴れやかな「工房からの風」の大波のような時間が過ぎて、3日目になっています。
終わった後の仕事、そして、心身整え・・・。
あっという間に時が過ぎます。

作家の方々から続々無事帰宅のご連絡をいただいています。
ありがたくうれしく拝読しております。
今は他に優先しなければならないワークをひとつひとつさせていただき、お返事は失礼しております。

恒例になりました「凪ぐ浜の宝もの」を公開していきますね。
大波が去った後の浜辺に残った宝物のような想い。
いただいたメールを幾つか、作家の許可をいただき、掲載させていただきます。

まずは、長野県から染めのお仕事で出展くださった豊田陽子さん。
ニッケ鎮守の杜に入ってすぐのところで、布をそよがせていましたね。

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この度は工房からの風で大変お世話になりました。
最後、ご挨拶ができぬままの退出で失礼いたしました。
無事長野に到着し、元気に今日の朝を迎えました。
家に帰り1日身体を充分休めて、改めてこの数日間のこと、出展前に集まったこと、寄稿文、制作の日々をゆらゆらと思い返しております。

前回の初めての出展時も、稲垣さんはじめ風人さんたちやスタッフの方たちの親身なサポートがあたたかく、ありがたいなあとは感じていましたが、
今回はもっともっと心の奥深くまでいろいろ感じることがあって、思い返すだけでじわーっと暖かく目頭がウルウルとしてしまうほど感動しています。

今まで多くの人たちが今までこの工房からの風に関わり、作家も、それを支える人たちも、思いを繋いで、広げて、長い年月を経てずっと「一番真ん中」を大切に守り続けてきたんだな・・・と。
そしてその思いは、それを取り巻く沢山の人々に伝わっていくものなんだとも思いました。

今回の出展にあたって、後悔のないように思い切ってやり切りたい!そして楽しみたいとも思っていましたが、
どんな状況でもやはり、作品に対しても、展示や接客に対してももっとこうすればよかったや、
こうしたらもっと良くなるかな、などなど反省することが沢山でてくるものなんだな・・
でもそれが次につながるエネルギーの一部になるんだなとも改めて感じています。

見覚えのあるスカーフを巻いている方がいると思ったら5年前に出展した時に購入してくれたお客様で、
しかもそういった方が何人かいらして、気に入って使っているとおっしゃっていただけたことが本当に嬉しかったです。

今回、購入してくれたお客様にももちろんありがたく嬉しい気持ちもありますが、
ずっと気に入って使っているとおっしゃっていただけるとさらに安堵と嬉しさがこみ上げてきました。
(5年前の自分もちゃんと頑張っていたんだ(笑))

工房からの風の20回展に思い切って応募し、そして再び参加させていただけたて、本当に良かったと改めて感じております。
初めての出展から5年経ち、あの時の思いや今の自分、今までにこの仕事をもう辞めてしまいたいと思ったことも、
でも創り続けたいという強い思いの火が消えなかったこと、
これからもいろいろな困難や壁にぶつかってもこの「真ん中」をちゃんと見失わないでいこうと思いました。

それはモノづくりに関わらず、どんなことにも生きていく上で大切なことなんだとも改めて感じています。

ゆっくり砂に水がしみ込む様に、まだこれからも今回の経験を通していろいろと色々な思いが沸き出てくるのではと思っています。

稲垣さんはじめスタッフの方々、風人さんたち、そして作家の仲間たち、お客様たち、皆さまにありがとうございました。

書きながらもどんどん思いがいろいろ出てきて、あれもこれもと文章が継ぎ足し継ぎ足しでもっと長くなっていってしまいそうなので、この辺で締めたいと思います。

改めてこの度は本当にありがとうございました!

豊田陽子

初出展の時には感じられなかった豊かなものを心に抱きしめて帰られた豊田さん。
それは、この5年のご自身の葛藤や思索、そして、実践と他者との交流が育んだものなのだと思います。

益々伸びやかに、まとう人の心を爽やかにする布づくりを。

豊田陽子さんの出展前の記事はこちらになります。
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